2022/01/13
歯磨きにまつわるエトセトラ
電動歯ブラシは使ったほうがいい?
1960年代にアメリカで誕生した電動歯ブラシ、日本で使われるようになったのは1990年代で歴史があります。「一度は使ったことがある」という人も多いでしょう。
近年、市場は拡大し、安いものから高級なものでは数万円のものまで、様々な電動歯ブラシが販売されています。中にはスマートフォンアプリと連動して磨き残しを防ぐことができるようになっているものも…。電動歯ブラシは大きく進化しているのです。
さて、電動歯ブラシのメリットはなんといっても簡便さ。軽く当てるだけで勝手に機械が磨いてくれ、手を動かさなくてもいい点でしょう。また、磨く時間も短縮できます。
手磨きの場合、正しく丁寧に磨こうとすると10分、短くて5分はかかります。しかし、電動歯ブラシでは2分程度で終了。
また、正しく磨いた場合、電動歯ブラシの刷掃能力は、手磨きによるものの約8倍という報告もあります。それだけプラーク(歯垢)を落とす能力が高いということです。
電動歯ブラシはもともと、手の不自由な方など特別な人を支援するために開発されたものです。このため、手先の動きが悪くなっている高齢世代には向いていると思います。ただし、高齢になっていきなり電動歯ブラシを使うのは難しいかもしれません。元気なうちから使って、慣れておくのも一つの方法ですね。
一方、電動歯ブラシを使うに当たっては注意したい点もあります。冒頭で述べたように、「正しく磨く」ことがなかなか難しいのです。電動歯ブラシで難しいのは毛先の当て方です。ただ何となく歯に当てているだけではプラークは落とせません。歯は前歯や犬歯、奥歯などそれぞれに役割が異なるため、大きさや形が違います。そのため、毛先を斜めに当てたり、ブラシの先を当てたり歯にあった当て方をしないと、汚れがしっかり取れないのです。
さらに歯並びが悪い部分は当て方には特にテクニックが必要です。もちろん、手磨きの場合と同じように、毛先が広がらないうちにヘッドを定期的に(メーカーにもよりますがだいたい3ヵ月程度)交換するなど、使用上の注意を守ることも大事です。
言い方を変えれば、電動歯ブラシは普段の手磨きがきちんとできる人には移行しやすく、そうでない場合、逆効果になってしまうリスクがあるということ。歯磨きのやり方に自信がない人は、電動歯ブラシの前にまず、手磨きの正しい磨き方を身に着けるのも一つの方法ですね。そして電動歯ブラシを導入した後にあらためて磨き方の指導を受ければ完璧です。
『聞くに聞けない 歯医者のギモン』より